zumaのはてなブログ

この世で一番好きなのは、本を読むことと歩くこと(「ぐりとぐら」風に♪)

海辺のカフカ

海辺のカフカ、読了。

森の部分を読んで・・。村上春樹はかつて、「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」の『世界の終り』での森の暮らしなど、”僕”が街に残ったつづきをいつか書きたい、と質問コーナーで言っていた。「海辺の・・」に出てくる森も共通する部分が多く、『世界の終り』の街と森が形を変えてあらわれたのだな、と感じた。

この小説でこころに残った部分をひとつ抜粋するならば、
<第40章での星野くんと大島さんの会話より
「・・・何かを経験し、それによって僕らの中で何かが起こります。化学作用のようなものですね。そしてそのあと僕らは自分自身を点検し、そこにあるすべての目盛りが一段階上にあがっていることを知ります。自分の世界がひとまわり広がっていることに。僕にもそういう経験はあります。たまにしかありませんが、たまにはあります。・・・」>

だね。ひとつの小説のなかからある部分だけを抜粋することに何の意味があるのだろうか、と疑問には思う。本当はこの小説を読み進める過程でいろんなことを感じたし、感じたものの中にはことばにできないものも多く含まれている。ある部分だけを取り出すことによってその他の部分で感じたものの影が薄くなってしまうことを僕は恐れる。(でも、やっぱ書きたいから書いちゃった。書いてみることでみえてくるものって確かにあるから。)